2011/10/29

そうだ、歯石 とろう と思いたち、数年ぶりに歯医者へいってみたが、「たまってないですよ」と言われてしまう。よかったような肩透かしのような。どうやら歯石はたまりにくい体質らしい。

下鴨神社前を自転車で走っていると警備員風の男に呼び止められ、皇太子が通るのでここで見送ってくださいといわれる。数分後、それらしき車が通り過ぎたがスモークがかかっていてみえなかった。

知恩寺で古本市が行われていることを思い出し、百万遍へ向かう。目当ての店はシルヴァン書店。ここは美術書に強く、値段も安いのでいつも楽しみなのだ。買ったのは500円均一台にあった定番のヴィジュアルブック。PHOTOGRAPHIS、graphis annual、graphis posters。すべて70年代。それからBlumen der Wüsteというタイトルのファブリック集(いま翻訳にかけてみたら砂漠の花とでた)。50〜60年代の婦人画報を3冊。誌面をぱらぱらやっていると横須賀功光、土門拳、中村正也の写真、伊丹一三と名乗っていたころの記事があった。ヨーロッパ退屈日記はここに掲載されていたのか。別の店で中谷宇吉郎の随筆集も買った。これでもう両手に本本本。ずっしりとした重さに満足感を感じながら、さらにチャリティーオークションの会場へ向かうと、同じようにヴィジュアルブックを両手にさげ、さらにリュックまで背負った只者ではない年配の方がいたので思わず声をかけた。話を聞くと定年退職する前は広告代理店でコピーライターをしていたという。お互いここで買った戦利品のことなどを話していると盛り上がってきたので、じゃあと、近所の進々堂に誘った。コーヒーを飲みながら、文学、映画、美術や音楽、仕事の話をした。年齢は倍以上も違うが、共有できるところが多く話は止まらず、「もうコーヒーよりも酒を飲みに行こう」と誘っていただき、二軒目はインド料理屋でビールとワインを飲みながら食事をごちそうになる。おたがいアルコールには強くなかったがヘロヘロになるまで6時間話し続けた。面白い出会いがあるもんだ。店をでるころにはすっかり暗くなっていた。帰りはお互い自転車だったので、駐輪場まで一緒にむかった。大量の本はどうやって持って帰るのだろうかと思っていたら、馴れた手つきで荷台に本をくくりつけ、「じゃあまた!」と去っていかれた。どう考えても74歳のやることとは思えない、本好きの青年がそのまま歳をとったような人だった。

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